みなさんは普段、どのようなかたちで“コーヒー”と触れ合っていますか?

当店のHPをご覧の方なら「コーヒーは焙煎した直後から酸化をはじめる」ということを知ってる人も多いと思いますが、世間一般的には粉で購入する人が主流です。
ハマ珈琲はオープン以来(例外を除き)一貫して粉での販売は行っていないのですが、初めて豆を買いに来たお客さんが「粉にしてほしい」と言う確率は高いです。

「他の店ではしてくれたのに・・・」
「だって家にミルがないから」

よくわかります。
しかし『便利なコーヒー』と『おいしくて体にも良いコーヒー』は全く逆方向にあるのです。

要するに、珈琲は焙煎した時点から酸化が始まり、どれだけ努力をしても豆の状態で1週間から10日ぐらいしか鮮度は保たれません。
しかもそれを粉にすれば、豆の状態と比べて何百倍も表面積が増えるのです。表面積が広くなれば空気と接触する面が増え、数百倍の速度で酸化が進行していくのです。

おいしく飲んでいただくためには、
①煎りたてのコーヒー豆を、
②豆の状態で保管し、
③飲む直前に粉砕(粉に)して
④ドリップする。
 という過程が絶対条件です。 僕はそのことを説明し伝えるのですがほとんど理解されないのです。

今現在、簡単で便利なコーヒーが市場に出回ってるのは、まさに時代の流れを巧みに利用し、市場資本主義という考えの下にコーヒーを置いたことが原因だと考えます。
おそらく大半の人が「普通」や「当たり前」と思ってる事も、ほとんどがその考え方によって支配されていて、「本当においしい珈琲を提供する」といった考えとは悲しくもはるかに遠いものなのです。

珈琲豆を店で粉にしてもらって買うというのは、便利ということと引き換えにわざわざ鮮度を失っているコーヒーを買い求めてるという状態であるわけです。
私が珈琲の道に進むと決めたのは、明らかに“おいしくない珈琲”と“間違った知識(常識)”が普通にそこらじゅうに出回ってる事にショックを受けたからです。

私は、珈琲を売る人として、皆さんに本当においしい珈琲を飲んでもらいたいだけなのです。
だから粉では売りたくないのです。 “粉にする”ということは、それがお客さんに頼まれたことであっても、自らの手で“酸化の速度を速め、急激に鮮度を落とす行為”になるのです。その時に飲むのであれば話は別ですが、販売単位は100gからですので、飲みきるのに少なくとも数日はかかると思います。

今までこういったことを消費者は知らされていませんでした。「より簡単に」「より便利に」を求めるのと、売る側の「需要があるから供給する」「売れればいい」という市場原理が働いたことが主な原因でしょう。 さらに「有名人がCMでやってたから」という宣伝広告などの効果は絶大だったと思います。